Where We Are

何が生まれるにも「今この場所」で、という想いを込めています。組織開発、人材開発において、気づきを与え、何かが生まれる場所を目指しています。

ソーシャルメディア世代のためのマネジメント改革 ~12のポイント~

最近、読みすすめている経営学の書籍に「ソーシャルメディア」が姿を現さないことは本当に少なくなってきたな、と感じます。ふんだんにソーシャルウェブの特徴が語られ、権限委譲、ボトムアップ、主体性にもとづいたコミュニティの構築、オープンな組織文化などといった言葉が飛び交っています。

とは逆に、今日の組織の問題を語る上で、そのベースとなるのはトップダウン、規則、効率化、手続きといった工業大国に移り変わる際に誕生した官僚組織の話ばかりです。先日お伺いした客先でも基本的にはこの官僚組織のマネジメントという前提にたった話が中心でした。

時代のパラダイムが変わる中で、僕自身が率先してマネジメントの変革を行っていかなければいけないと思います。それもそのはず、組織開発や人材開発に携わる人間ですら、話の前提は官僚組織の域を出ないのです。ゲイリー・ハメルの『経営は何をすべきか』を参考に、Facebook世代のためのマネジメントを考えてみました。

 

経営は何をすべきか

経営は何をすべきか

 

 

マネジメントの理想と現実

ゲイリー・ハメル氏は、イノベーションが求められる時代には、工業化時代に価値を置かれてきた従順、勤勉、専門性に加えて、主体性、創造性、情熱を引き出すためのマネジメントが必要だとおっしゃられています。

ただ、現実にはどうでしょうか?組織のフラット化、エンパワーメント、サーバント・リーダーシップという言葉が誕生して久しいですが、実際の現場では多くの人がやる気をそがれ、虚無感を感じ、情熱など持てない環境で仕事をしているのではないでしょうか。人生の少なくとも1/3が仕事にもかかわらず、こうした事態が起こっているのは、個々人の幸せを考えれば、到底、放置できるものではないと思います。

僕らを導く未来のマネジメントや組織の指針が出ているのにもかかわらず、変革できない現状。でも、早晩、革命が起きるだろうとハメル氏は主張しています。

マネジメント革命を引き起こす3つの断絶 

ハメル氏は、3つの断絶がマネジメント革命を引き起こすとしています。

  1. 事業環境を以前よりも厳しいものにした激変の数々
  2. ウェブベースの新しい協働ツールの発明
  3. 今後Facebook世代が仕事に新たな期待を寄せそうな点 

 急速な環境変化の中においては、従来のマネジメント・モデルはイノベーションより最適化を、変化より連続を重視するため、今起きているような未曾有の変化には対処できない。社内SNSをはじめとした分散型ネットワークを構成できるウェブベースの恊働ツールの発明もマネジメント革命を促進する。また、Facebook世代は、20世紀半ばの官僚体質ではなく、ウェブのソーシャル環境を反映したソーシャル性を、仕事にも求めるはず、というのがハメル氏の考えです。

Facebook世代のための12のマネジメント改革

上記を念頭に、ハメル氏は仕事と関連の深いソーシャルウェブの12のポイントを挙げられています。個人的には、12のポイントがそのままマネジメント改革にも使えるのではないかと考えているので、掲題はそのようにさせてもらっています。

  1. すべてのアイデアが対等な立場で競い合う
  2. 資格やお墨付きよりも貢献度が物を言う
  3. 階層はボトムアップで築かれる
  4. リーダーの役割は支配ではなく奉仕である
  5. 仕事は割り振られるのではなく自分で選ぶ
  6. グループは自主的につくり、目的も自分たちで決める
  7. リソースは配分されるのではなく引きつける
  8. 力は蓄えるのではなく分かち合う
  9. 凡庸さは透けて見える
  10. 反対者が一致団結できる
  11. 利用者はたいていの方針を拒否できる
  12. 内在的な報酬が何より重要である

 いかがでしょうか。これを組織内ですべて実現しようとすると大幅なマネジメント革新が必要となるはずです。しかも、官僚組織から得られたメリット、効率性、規律、成果志向を手放さず、です。

社内SNSなどを活用した組織運営やマネジメントについての議論は、メリットばかりが強調されすぎていて、官僚組織で恩恵を受けたメリットをいかに維持するのか、という議論は置き去りにされたままです。

この12のポイントを如何に、ソフトランディングさせるのか考えていきたいですね。

ではでは、また!