Where We Are

何が生まれるにも「今この場所」で、という想いを込めています。組織開発、人材開発において、気づきを与え、何かが生まれる場所を目指しています。

「レイヤー化する世界」における教育業界

読もう読もうと思っていた佐々木俊尚さんの『レイヤー化する世界』ようやく読了です。『ワーク・シフト』や『評価経済社会』ともリンクしていて、より視界が鮮明になりました。

 

書籍の中身のまとめとともに、未来の教育を考えてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【現代を支配してきた構造】

本書では、これまで世界がどのようにまわっていたかが書かれています。これからの時代を見ていくための前提知識としての情報です。

これまでヨーロッパやアメリカ、日本などの先進国では、企業のウチとソト、国民国家のウチとソトというようにウチとソトの関係をいくつも重ね、つねにウチは豊かになり、ソトの富を奪っていくという構図をつくっていました。ウチには富が集まり、「できるだけ多くのヒトが幸福になること」が実現し、だからこそ民主主義が成り立ってきた

工業化時代に突入した先進国は、製品の販売先をソトに求め他国を植民地化し、自らは帝国となっていったという歴史です。

 

【レイヤー化する世界〜テクノロジーとの共犯関係とは】

テクノロジーの進化に伴って、このウチとソトは瓦解していくと著者は言っています。

テクノロジーの革命は、このウチとソトという構図を破壊しながら進行しています。インターネットはウチソトの壁を壊し、ただひとつの<場>のようなものをつくり、その<場>はインターネットに接続している限りすべての人々に開放されていて、無限に広がっていきます。…ウチの幸せが消滅し、<場>へと世界が移行していくと、そこではやはり<場>を運営する側とされる側という新しい支配関係が生まれます。

このテクノロジーの進化によって<場>をつくりだいしてるのがAppleGoogle、Amazonのような会社です。レイヤー化する世界とは、教育に例えて言うならば、どの学校の先生なのか、どの出版会社がつくった教材なのか、といった縦の境界はありません。教育という大きな<場>があって、

教材のレイヤー。授業の動画のレイヤー。そしてそれらをもとにした教室での実地の授業というレイヤー。このようにスライスされていきます。

そういう意味では、同じ研修会場<場>にいる限りはもはやそこにいる「教える側」「教えられる側」という縦の境界にて分けられていた関係性もなくなります。崇高な目的を達成するために知を探求する同志、もしくは社会の問題解決をする同志のような関係性になっていくと思います。教材にしても、「作る側」と「使う側」という区別もなくなっていく。<場>が与えてくれる汎用的な教材を上記のような研修会場にて崇高な目的に基づいて作り替えられるのです。そして、wikipediaのように常に更新がかけられていくのです。

 

【オープンエジュケーションという場における問題解決者というレイヤー】

先日のBlogでも書いたように、本来は主役であるはずの学習者が忘れ去られているという状況を考えてきました。それでは学習者に一番寄与できる組織・人事コンサルティングのあり方とはどういったものになるでしょうか。

 

まずは、テクノロジーとの共犯関係については、やはりMOOCをはじめとしたオープンエジュケーションとの共犯関係の可能性が濃厚なのではないかと思います。オープンエジュケーションが大きなテクノロジーとしての<場>になります。これまで、組織・人事コンサル会社が個々に所有していた研修カリキュラムやテクノロジー、これまで講師やコンサルタントに依存していた研修の開催そのものの価値は相対的にみて低くなっていくのではないかと思います。

 

むしろ、積極的にオープンエジュケーションという<場>を利用する事に成っていき、これまで提供してきた教育研修の形も変わってくると思われます。例えば、先日も取り上げた反転授業。これは、新しい教育の形になっていくでしょう。また、オープンエジュケーションのカリキュラムを社内勉強会的にコンテンツとして使うことによって教育研修と代替されてしまう可能性もあります。

 

それは組織人事コンサルティングと顧客という枠組みを超えて、オープンエジュケーションという場を活用する「問題解決者」というレイヤーの中で活動することになるでしょう。

 

もちろん、こういう場を使いきれない人がいるのではないか?という疑問視する声も聞こえてきそうですが、大丈夫です。<場>が私はレイヤーという層の中で、一体化、共感、繋がりを促し、そのような環境の中に継続的に身を置く事で、主体性が生まれてくると思うのです。

 

輝かしい教育の未来。

 

楽しみですね。